関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-150 両下腿切断者に対する断端管理と在宅復帰に向けた介入の振り返り
安食翼山中誠一郎野口隆太郎荒井浩之山根佑典
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p. 150-

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抄録

【目的】今回両下腿切断・両手指壊疽の診断で入院された患者様に対し、週2 日来院する義肢装具士と共に、疼痛に対応しながら仮義足作製を進め、独居での在宅復帰を果たした症例を経験したので報告する。なお、報告に関しては当院倫理委員会の承諾を得ている。

【症例紹介】70 歳代男性。入院前はエレベーター無しのマンションの4 階で独居生活であり、外出機会は多かった。

H27 年6 月に治療での投薬により末梢循環不全に陥り、両手指・両足に壊疽を生じ、両下腿を切断。H27 年7 月リハビリ目的に当院へ入院。

【初回評価】著明な関節可動域制限は無く、MMT 体幹・両下肢3~4。両手指はDIP 関節より末梢に皮膚の壊疽あり。両側握力11kg 台。断端に異常感覚は認められず。基本動作軽介助~見守り、ADL 要介助。

【治療経過】関節可動域の維持、体幹・股関節周囲筋の筋力・協調性向上を中心に実施。退院先に関しては、階段を使用しない建物への引越しを提案した。断端管理は弾性包帯を使用し、10 病日からはシリコンライナーを使用。17

病日に仮義足採型を行った。訓練を続ける中で断端周径の減少あり、荷重時に疼痛が出現。チェックソケットの修正やパッド、断端袋、アライメントの調整にて都度対応したが、93 病日に再採型を行い、119 病日に熱硬化性ソケットへ変更。退院先に関しては、物件が見つからず、元の家に131 病日に家庭訪問を実施。157 病日に屋内フリーハンド、屋外両ロフストランド杖での義足歩行を獲得し、自宅退院となった。

【考察】本症例は、高齢での両下腿切断であり、両上肢の機能低下もあり、入院時の予後の提案に難渋した。身体機能面と手指の状態を他職種連携にて確認しながら歩行補助具や歩行量を調整し、義肢装具士も交えて個別に対応出来た事が安定した歩行獲得へ繋がったのではないかと考える。断端管理に関しては、断端周径の変動が大きい場合、チェックソケットにて経過を観察する事も有用であったと思われる。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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