関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-177 立位姿勢時の外乱負荷刺激に対する腓腹筋と前脛骨筋の反応順序性に関する研究
佐々木雄太隈元庸夫高柳清美
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p. 177-

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抄録

【目的】動的姿勢保持機能と筋活動の反応は前後方向ともに遠位から近位に起こるとされているが,前後方向共に活動する前脛骨筋と腓腹筋の反応順序性について検討はされていない.外乱負荷刺激に対する腓腹筋と前脛骨筋の筋活動の反応順序性を明確にすることを目的とする.

【方法】健常成人男性20 名(年齢25.0±4.5 歳)を対象とした.平衡機能評価機器EquiTest におけるMotor Control Test を外乱負荷刺激とし,刺激に対する筋活動の測定にはEquiTest と同期させた表面筋電計を用いた.前脛骨筋,腓腹筋内側頭を導出筋とし,双極導出法を用いた.アナログデータをサンプリング周波数1500Hz でA/D 変換し,解析用PC にデジタルデータとして取り込んだ.波形は筋電解析ソフトウェアにて10~500 Hz のバンドパスフィルターにより低・高周波数成分を除去,心電図ノイズ低減の後,全波整流化し解析した.解析は外乱負荷刺激前

100ms 間の整流波形の最大値を確認し,刺激後にこの値を超えた時点の潜時(Pre Motor Time;PMT)を求めた.刺激として床面が後方と前方に動いた際の各筋のPMT について,統計学的処理を行い比較検討し有意水準は5%未満とした.

【倫理】本研究は埼玉県立大学倫理委員会からの承認を受けて実施した(承認番号26515 号).対象者には研究の趣旨について十分な説明を行い,書面にて同意を得た上で研究を行った. 【結果】 前後方向ともに,前脛骨筋と腓腹筋のPMT に有意な差は見られなかった.

【結論】 Horak らは,床面が前方に移動した際には下腿前面筋が,後方に移動した際には下腿後面筋が活動し,それによって安静立位すると報告している.今回の結果により,外乱負荷刺激に対する対応として,前脛骨筋と腓腹筋は協調して働き,足関節制御による立位保持を行っている可能性が示唆された.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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