関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-176 非利き手による箸動作の練習が運動イメージ時の一次運動野興奮性に与える影響
岡原隆之介清水忍
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p. 176-

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抄録

【目的】運動イメージによる一次運動野(M1)興奮性増大に関する先行研究は利き手に関するものが多く,非利き手の運動イメージ時のM1興奮性の変化は明らかになっていない.清水ら(2014)は利き手での箸動作イメージ時には対側M1興奮性は増大したが,非利き手では対側M1興奮性の増大は認められなかったと報告した.今回,非利き手の箸動作の練習が運動イメージ時のM1興奮性に及ぼす影響を明らかにした.

【方法】対象は右利き健常男性13 名とし,練習群7 名,コントロール群6 名の2 群に分けた.運動イメージ課題は左手で箸を用いて食材をつまむ動作とした.M1興奮性の指標には経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位(MEP)を用い,左第一背側骨格筋から表面筋電図を記録した.両群とも最初に安静時MEP の測定を行った.次に,運動イメージ課題を動画で提示し,十分なイメージ練習を行った後に,練習前テストとして運動イメージ中のMEP を測定した.次に,練習群には運動イメージ課題と同様の箸動作を実際に左手で8 分間練習させ,コントロール群には読書を行わせた.その後,両群とも練習後テストとして運動イメージ中のMEP を測定した.MEP 振幅値は安静時比を算出して解析した.運動イメージの鮮明度はVisual Analog Scale(VAS)を用いて測定した.統計学的解析は条件群(練習群,コントロール群)と時間(練習前,練習後)の二つを要因とした分散分析を用いた.なお, 本研究は学部倫理委員会の承認を得て行った.

【結果】MEP 振幅値は各群とも練習前後で有意な変化は認められなかった.一方,VAS は練習群では練習後に有意な増加(P<0.05)が認められたのに対し,コントロール群では有意な低下が認められた(P<0.05). 【考察】箸動作の練習によって,非利き手の箸動作の内部モデルが構築され鮮明なイメージが可能となったものの,筋疲労によって運動イメージ時のM1 興奮性に変化は認められなかったと考えられた.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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