関東甲信越ブロック理学療法士学会
Online ISSN : 2187-123X
Print ISSN : 0916-9946
ISSN-L : 0916-9946
第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
会議情報

口述
O-182 大腿骨近位部骨折術後に歩行補助具が変化した症例と、歩行補助具が変化しなかった症例の 足踏みの指標
飯田祥吾黒部恭史牛山直子百瀬公人
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 182-

詳細
抄録

【目的】下肢術後患者の立位条件の患側最大荷重率と使用している歩行補助具の種類は関係することが報告されている。しかし、立位条件の患側荷重率では歩行補助具を決定するには十分な尤度比が得られていない。歩行補助具を決定するための指標としては、立位よりも歩行のような動的条件で測定された指標が有用と考えられる。近年、歩行に近い状態である足踏み時の荷重率や、荷重時間のような動的指標を測定できる機器が普及してきている。しかし大腿骨近位部骨折術後患者の動的指標が術後歩行練習期間中にどう変化するかについての報告はない。そこで、歩行補助具が変化した症例(症例1)と歩行補助具が変化しなかった症例(症例2)の足踏み時の動的指標が得られたので報告する。

【症例】大腿骨近位部骨折を受傷し、骨接合術を施行した患者2 名。症例1 は60 歳代の男性であった。症例2 は

80 歳代の女性であった。

【方法】測定は重心動揺計上で10 歩の足踏みを行い、平均荷重率と2 歩時間の変動係数(CV)を求めた。測定開始日は、四点歩行器歩行開始時からとし、測定は毎日実施した。測定は理学療法中に使用している歩行補助具を使用した。歩行補助具を変更する際には、使用している歩行補助具と次に練習を開始する歩行補助具で測定した。

本研究は当院倫理審査委員会の承認を得ている。

【結果】症例1 の平均荷重率は日毎に増加した。キャスター付き四点歩行器で60%、T 字杖で80%以上、独歩で

100%前後という特徴があった。CV は減少傾向であった。症例2 の平均荷重率はほとんど60%以下で推移し、歩行補助具は変化しなかった。CV の変化に傾向は見られなかった。

【考察】症例1 では、平均荷重率の増大とCV の減少があった。一方、症例2 は2 つの指標に一定の傾向が見られなかった。このことから、2 つの指標は歩行補助具を決定する指標と考えられる。今回は2 症例のみであるため、今後対象者を増やして検討する必要がある。

著者関連情報
© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
前の記事 次の記事
feedback
Top