関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-002 体幹前方/後方移行位における胸骨加圧後の歩行動作と筋機能について
土屋元明遠藤辰弥
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p. 186-

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抄録

【目的】山嵜勉氏考案の形態構築アプローチとは、ヒトの形態を再構築することによって運動機能の修復を図る理学療法技術である。この中に胸骨上端/下端加圧があり、これは体幹前方/後方移行位の構築を行う方法になる。今回体幹前方移行位(以下前方群)と体幹後方移行位(以下後方群)の群において、胸骨上端または下端加圧後の歩行動作が筋機能に与える影響を、膝伸展筋力と並進バランステストの結果から考察したので報告する。

【方法】対象は健常成人22 名(男性11 名、女性11 名、年齢28.5±4.3)で、前方群(12 名)と後方群(10 名)の2 郡に分けた。各群において胸骨上端または下端加圧後に自然歩行を実施してもらい、以下の方法で筋力を評価した。膝伸展筋力は右大腿四頭筋の最大筋力(Nm)をInterReha のcorpus を用いて測定し、並進バランステストは右肩峰下垂直圧による姿勢安定性(kgf)をアニマ社製のμtasF-1 を用いてそれぞれ2 回測定した。統計学処理は各群において胸骨上端、下端加圧後の膝伸展筋力と胸骨上端、下端加圧後の並進バランステストを対応のあるt 検定を用い、危険率5%未満を有意とした。

【倫理的配慮、説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に基づき、対象者には本研究内容を十分に説明し同意を得た。

【結果】前方群、後方群ともに膝伸展筋力に有意差はなく(n.s)、並進バランステストにおいて有意に差が認められた

(p<0.01)。前方群においては胸骨上端加圧後の並進バランスが有意に安定し、後方群においては胸骨下端加圧後の並進バランスが有意に安定した。

【考察】膝伸展運動は速筋線維を多く動員し、並進バランステストにおける姿勢安定性は遅筋線維を多く動員する動きである。今回並進バランステストで有意差がでたのは、歩行動作が速筋よりも遅筋線維を多く動員する動きであるからと考えた。

【まとめ】ヒトの形態を評価し歩行動作を改善させることは、姿勢を安定させる筋が活動しやすくなる可能性が示唆された。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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