関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-007 脳卒中片麻痺患者の歩行に対する装具療法~三次元動作解析システムを用いた検証~
近藤亮介
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p. 191-

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抄録

【はじめに】プラスチック製短下肢装具(以下SHB)装着による筋活動や関節運動の経時的変化を客観的に示す先行研究は少ない。第50 回日本理学療法学術大会にて、健常成人の歩行はSHB の形状に依存しないと発表した。今回は、当院にてSHB を処方した脳卒中片麻痺患者の歩行を経時的に検証した。

【症例】50 代男性。H27/7/24 ラクナ梗塞を発症し左片麻痺を呈した。データ計測開始の12/1 時点で、Br.stage Lt III-III-IV、左足関節背屈可動域制限、右>左で2.5cm の脚長差あり。T 字杖、SHB 装着にて歩行見守り、分廻しと反張膝が生じていた。症例には本研究の主旨を説明し、書面にて同意を得た。

【方法】自由歩行3 試行を課題とし、計測は3 日間、初回計測日をday1、翌週をday2、翌々週をday3 とした。day1 ~day2 は病棟で車椅子を自操、day2~day3 はT 字杖、SHB を装着し病棟内歩行自立。SHB は処方の際、脚長差と下腿軸を是正するよう採型時にアライメントを調整した。計測は3 次元動作解析システムVICON370(OXFORD METRICS 社製)を用い、臨床歩行分析研究会推奨のDIFF15 マーカ貼付位置を参照した。麻痺側立脚期での重心移動速度と麻痺側股関節伸展モーメントの最大値の平均を代表値とし、計測日ごとに比較検討した。

【結果】重心移動速度、麻痺側股関節伸展モーメント共に、day1~day3 で増大し、中でもday2~day3 で著明に増大した。また、歩容の改善がみられた。

【考察・まとめ】SHB の底屈制動モーメントにより、膝関節を中心とした大腿の前方回転,麻痺側骨盤の前方移動が促されたと推察する。アライメントを是正した中で活動量を上げることは、経時的な機能向上になり得ると考えた。本研究はシングルケースデザインである為、今後症例数を増やした上で更なる検証が必要である。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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