関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-020 自立歩行可能な高齢者の膝伸展筋力標準値-メタ分析による算出-
上出直人佐々木健人
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p. 20-

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抄録

【目的】ハンドヘルドダイナモメーター(HHD)による膝伸展筋力の評価は,高齢者の転倒や要介護状態の発生予測に有用である.本研究は,メタ分析により日本人高齢者のHHD による膝伸展筋力標準値を算出することを目的とした.

【方法】2015 年8 月までに出版された膝伸展筋力に関する研究論文をPubMed で検索した.検索語には高齢者および膝伸展筋力に関する用語を適宜組み合わせて使用した.論文の採用基準として,60 歳以上,地域在住日本人,自立歩行可能,HHD による膝伸展筋力値の記載,など全8 項目を設定した.採用した論文からHHD による膝伸展筋力のデータを抽出し,変量効果モデルを用いて標準値を算出した.なお,標準値は筋力実測値とトルク値の両者について算出した.さらに,標準値に対する系統的バイアスをメタ回帰分析で検討した.有意水準は5%未満と

した.なお,本研究は文献研究のため該当する倫理指針はない.

【結果】3,320 論文が検索され,採用基準を満たした21 論文50 データを解析に採用した.対象者数は合計11,773

名(男性4,259 名,女性7,514 名),年齢は60~90 歳代であった.解析の結果,膝伸展筋力標準値は男性

313.8[281.0-346.7](N),女性206.6[164.1-249.0](N)であった.また,膝伸展筋力トルク値の標準値は男性

84.9[63.1-106.7](Nm),女性51.8[46.6~56.9](Nm)であった.標準値に対する系統的バイアスとしては,男性では年齢と使用機器の違い,女性では使用機器の違いにおいて有意に標準値が変動した(p<0.05).

【結論】本研究により,HHD による膝伸展筋力の標準値を得ることができた.一方,年齢や使用機器の違いにより標準値は変動することから,評価の際には,対象者の年齢や使用機器に留意して標準値との比較をすることが重要で

ある.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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