関東甲信越ブロック理学療法士学会
Online ISSN : 2187-123X
Print ISSN : 0916-9946
ISSN-L : 0916-9946
第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
会議情報

ポスター
P-020 肺炎患者の基本動作への影響因子
中村智恵子五十嵐祐介平山次彦中山恭秀
著者情報
キーワード: 肺炎, 基本動作, 影響因子
会議録・要旨集 フリー

p. 204-

詳細
抄録

【はじめに】肺炎は高齢者に好発の疾患であり高齢化、臥床期間が長期化することで廃用症候群を発症するリスクは高い。今回、肺炎患者の理学療法開始時の基本動作能力に着目し、Ability for Basic Movement Scale(以下、ABMS) において全介助群と自立群とで比較し若干の知見を得たので報告する。

【方法】平成24 年7 月から平成27 年3 月までに肺炎にて理学療法依頼のあった60 例(男性34 例、女性26 例、平均年齢81.0±12.1 歳)より、初期評価の寝返り、起き上がり、座位保持、立ち上がり、立位保持の全項目が全介助であった全介助群8 例(男性4 例、女性4 例、平均年齢82.0±6.1 歳)と、全項目が自立であった自立群8 例(男性5 例、女性3 例、平均年齢81.0±7.5 歳)を対象とした。これら2 群において年齢、入院から理学療法開始までの日数、既往歴、炎症値(CRP)、栄養(Alb)、白血球数を対応の無いt 検定にて、入院前生活自立度、呼吸器使用の有無、肺炎重症度(A-DROP)をχ<SUP>2</SUP>検定にて比較した。尚、本研究は当大学倫理審査委員会の認承を受けて行った。

【結果】A-DROP による肺炎重症度は、ABMS 全介助群では超重症2 例、重症5 例、中等度1 例、ABMS 自立群では、超重症0 例、重症2 例、中等度6 例であり、全介助群では超重症~重症例が自立群と比較して有意に多かった

(<I>p</I><0.05)。また、入院前の日常生活自立度は、ABMS 自立群においては全例が外出自立のJ1、J2 を占め、ABMS 全介助群においては外出介助のA1から下位のC2 を占める結果となった。

【考察】肺炎患者の基本動作能力は年齢や臥床期間、既往歴による影響は少ないことが示された。また、肺炎の重症度や入院前の日常生活自立度、特に外出自立の可否が肺炎患者の基本動作能力に寄与することが示唆された。

著者関連情報
© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
前の記事 次の記事
feedback
Top