関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-021 腹臥位装置の導入によって、呼吸障害の改善に加えて側彎の改善がみられた1 事例
大沼博
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p. 205-

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抄録

【はじめに・目的】当施設に入所している重症心身障害児1 例に対して、呼吸障害の改善、排痰の目的で腹臥位装置を作製し、日常生活に導入したところ、当初目的としていた効果の他に側彎が改善されるという経過を示した。その要因について考察を加え報告する。

【説明と同意】発表に際し、当施設の倫理審査委員会による承認と両親による同意を得た上で最大限倫理的配慮を行った。

【症例紹介】13 歳、男児、身長100cm、体重16.6kg、BMI16.6、疾患名:先天性小頭症、精神発達遅滞、症候性てんかん、喘息性気管支炎、横地分類:A1、大島分類:1、側彎は頸椎右凸、胸腰椎左凸、股関節は右へ偏位したwindswept deformity が進行してきている。1 日の多くの時間を背臥位及び左下側臥位で過ごし、4 時間程度を座位保持機能付き車椅子に乗車している。

【方法】腹臥位装置の構造的特徴は、(1)左右の肩峰と上前腸骨棘を指標に不快反応が出現しない範囲で体幹を対称姿勢に近づけ(2)その上で下肢は自然肢位で支持面を広くとる(3)頭部はリラックスでき、上気道の通過を優先するというもので、各種ベルトとパッドで身体状況の変化に対応できるようにした。2015 年12 月より、週5 日間、午前中約30 分間、学校と病棟生活で使用した。Cobb 角(リハビリテーション科専門医によるレントゲン画像読影)を導入前、導入後1 ヶ月後、3 ヶ月後で測定した。

【結果と考察】導入前と比較し1 ヶ月後、さらに3 ヶ月後のCobb 角の改善がみられた。重症心身障害児の側彎は、一見固定的にみえても可逆的な範囲を有しており、腹臥位装置による姿勢管理は側彎の予防的一対策になりうることが示唆された。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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