関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-024 左上腕骨近位端骨折後,拘縮肩を呈した一症例
山下侑哉新田智裕宮本謙司
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p. 208-

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抄録

【はじめに】今回転倒により,左上腕骨近位端骨折(NEER 分類3-parts)を呈し観血的プレート固定術を施行した症例を担当した.本症例は術後,拘縮肩を呈し可動域の改善に難渋した.4 か月間介入し,代償は残存しているが可動域の改善が得られたので報告する.なお,対象者にはヘルシンキ宣言に則り主旨を説明し同意を得た.

【症例紹介】60 歳代女性,夫と二人暮らしであり家事全般をおこなっていた.2015 年8 月に自宅で転倒受傷し,5 日後に観血的プレート固定術を施行した.術後2 ヶ月後より本症例の担当となった.

【理学所見】初回介入時の可動域は,左肩関節屈曲95°scapular plane 上外転 45°伸展20°外旋5°内旋10° 内転0°であり,左肩甲帯周囲筋・腱板筋群のMMT2,その他の肩関節周囲筋はMMT4,左肩関節屈曲時にshrug sign を認めた.また左上腕骨頭の上方偏移を始め,左肩甲帯・鎖骨の不良肢位及び可動域制限を認めた.

【介入・結果】4 ヶ月間担当し,介入開始から2 ヶ月は肩甲上腕関節,肩甲胸郭関節に対する可動域訓練を中心に介入したが左肩関節可動域の大きな改善は認めなかった.そこで問題点を再抽出し,棘上筋・肩甲下筋下部線維・広背筋・大円筋の柔軟性改善,上腕骨頭の上方偏移の改善,肩甲帯周囲筋・腱板筋群、三角筋の筋力低下改善,関節包内運動の改善,隣接関節機能の改善を目的にアプローチを実施.またホームエクササイズを工夫し,定着を図った事により持続的な効果が得られるようになった.その結果,左肩関節屈曲150°scapular plane 上外転85°外旋35°内旋25°まで改善し,左上肢も使用して家事がおこなえるようになった.

【考察】肩甲上腕関節に対して適切な評価・介入を実施し,隣接関節の可動域・機能を改善する事で良好な結果が得られた.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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