関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-025 大腿骨骨幹部骨折患者の運動療法の再考
武井宏彰
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p. 209-

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抄録

【はじめに】大腿骨骨幹部骨折は股関節周囲の筋走行により特徴的な骨転位を取る。そのため筋走行に注意し支持性の高い下肢機能の獲得が必要である。今回上記骨折を受傷した症例に対し座位,立位にて筋走行に配慮し運動療法を提供した事を紹介する。症例にはヘルシンキ宣言に基づき同意を得た。

【症例紹介】10 代男性。診断名大腿骨骨幹部骨折。手術名観血的整復固定術。既往歴なし。現病歴は平成28 年2 月6 日上記受傷。同日緊急手術施行。平成28 年3 月1 日当院回復期病棟入院。入院時右下肢免荷状態。平成

28 年3 月25 日に1/3 荷重開始。平成28 年4 月6 日に1/2 荷重開始。平成28 年4 月22 日に2/3 荷重開始。平成28 年5 月6 日全荷重開始。

【初期評価】(関節可動域制限)右股関節屈曲90°,右膝関節屈曲100°(筋力テスト)中殿筋2 内転筋2 大殿筋2 腸腰筋3(脚長差)大腿長右46cm 左44cm,下肢長右78cm 左76cm(座位姿勢)右骨盤後傾,右股関節軽度外旋、外転位(立位姿勢:1/2 荷重時)右骨盤後退,右股関節軽度外旋,外転位。

【最終評価】(関節可動域制限)右股関節屈曲110°,右膝関節屈曲130°(筋力テスト)中殿筋4 内転筋4 大殿筋4 腸腰筋4(脚長差)大腿長右45cm 左44cm 下肢長右77cm 左76cm(座位姿勢)骨盤前後傾中間位,右股関節内外線中間位(立位姿勢)骨盤の左右対称性が現れ,右股関節内外旋中間位に改善。

【考察】骨折により筋走行に影響が出る筋は大腰筋,大内転筋,小殿筋,中殿筋が考えられる。よって大腰筋の伸張を徒手にて誘導し,多裂筋との協調性を確認し,骨盤中間位保持,上半身質量位置の調節を行った。また,関節は内転筋を短縮方向、小,中殿筋を伸張方向に徒手誘導し下腿,足部との協調性を確認しながら左下肢の運動を行った。

免荷時期は座位,部分荷重時期は立位で実施した。今回のように荷重制限の期間が長い症例に対しては,骨折による骨転位をレントゲン上で確認し,筋走行を意識し全身のバランスを考えた運動療法を提供することが大事であると考える。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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