関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-026 大腿骨外側顆前方の離断性骨軟骨炎を呈した症例に対する理学療法~ランジ疼痛- 片脚ス クワット疼痛+~
齋藤涼平道明大貴可知芳則
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p. 210-

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抄録

【はじめに】膝関節での離断性骨軟骨炎(以下OCD)はAichroth の分類が用いられ、大腿骨内側顆85%大腿骨外側顆15%、外側顆前方の膝蓋大腿関節面2%とされている。膝関節OCD はスポーツ動作等の繰り返される力学的な負荷がかかる事が原因と言われている。今回、大腿骨外側顆前方のOCD の症例に対して、動作分析を通して患部への力学的負荷を推察し理学療法を実施したので報告する。

【症例紹介】症例は14 歳男性。スポーツはサッカー(蹴り足:右)を行っている。主訴は踏み込むときに左膝が痛い。

当院受診後MRI 検査で左大腿骨外側顆のOCD をみとめ保存療法での理学療法開始(スポーツ活動の制限)。ヘルシンキ宣言に基づき症例には同意を得た。

【初期理学的所見】圧痛所見は膝関節屈曲位で膝蓋骨を膝蓋大腿関節の外側面への圧迫で(+)。関節可動域は股関節屈曲外旋位での内転が左右差あり。徒手筋力テストでは、左股関節外転が3。立位姿勢はスウェイバック。疼痛は左脚での片脚スクワットでNRS 7/10 関節角度は60°。片脚スクワットの際に、Knee-in を呈していた。両側スクワットやランジ動作では疼痛(-)。

【理学療法および経過】理学療法では股関節周囲筋の柔軟性と筋力の改善と同時に、体幹のStability 能力の向上と下肢と体幹での協調したMobility on Stability 能力の向上を行った。片脚スクワットでの疼痛は消失し関節角度も左右差なしとなり、徐々にスポーツにも参加。

【考察】両側スクワットやランジ動作では膝蓋大腿関節は内側面と外側面での接触となるが、片足スクワットの際にKnee-in を呈していることから大腿骨は内旋位となり膝蓋大腿関節での外側面での接触が強くなり、大腿骨外側顆前方のOCD に力学的負荷が増加することが疼痛を誘発していると考えた。

【まとめ】膝関節OCD の保存療法において、力学的負荷を推察しそれを軽減するための運動療法を実施することは重要と考える。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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