関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-028 末梢性顔面神経麻痺を呈した小児の理学療法
今村純子前野理恵高橋素彦
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p. 212-

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抄録

【はじめに】小児の末梢性顔面神経麻痺は予後良好とされているが、具体的な回復過程についての報告は少ない。

今回、小児への理学療法(以下、PT)において、出現した病的共同運動がほぼ改善した症例を経験したので報告する。なお、文書にて症例の保護者および症例に同意を得た。

【症例紹介】学童期。診断名は左末梢性顔面神経麻痺。Electroneurography(以下、ENoG)6.1%。2014 年X 月Y 日顔面の違和感が出現し当院入院。柳原法16 点。6 日後PT 開始、退院。PT は外来で継続。

【理学療法経過】開始時は柳原法4 点。母親にマッサージ・ストレッチを指導。症例にも運動の練習や粗大で強力な運動の禁止について説明。発症3 週間後、柳原法10 点。 1 ヶ月後、目をこすると左下眼瞼挙上。翌週、閉眼時に左下眼瞼挙上。2 ヶ月後、閉眼時の左下眼瞼挙上が軽減。2ヶ月半後、欠伸で左眼裂狭小し、口すぼめで左口角外側に筋収縮あり。母親・症例に開嶮運動を指導。翌週、口すぼめでの筋収縮消失。3 ヶ月後、柳原法38 点。強閉眼や片眼つむりで左口角外転。3 ヶ月半後、閉眼での左下眼瞼挙上は消失。4 ヶ月後、瞬きで左口角外側に筋収縮あり。4 ヶ月半後、瞬きでの左口角外側の筋収縮軽減。7ヶ月後、柳原法40 点。欠伸での眼裂狭小は意識下で抑制可。8 ヶ月後、大欠伸で眼裂狭小。1 年後、PT 終了。顔面拘縮なし。瞬きでの左口角外側の筋収縮はごく稀。欠伸での眼裂狭小は消失。経過中、病的共同運動の生じる部位を重点的にマッサージするよう母親に指導。

【考察】成人では、ENoG10%未満の予後は病的共同運動が優位になり、機能不全・機能異常が残るとされているが、本症例では出現した病的共同運動がほぼ改善した。小児は予後良好とされているが、出現した病的共同運動が改善したという報告はない。早めに病的共同運動の兆候を把握し、出現した部位のマッサージを強化することが、病的共同運動の改善に寄与した可能性があるのではないかと考える。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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