関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-022 成長期腰椎分離症のスクリーニング~自己記入式腰痛問診票の有用性について~
大山隆人杉浦史郎志賀哲夫石崎亨木村安見大槻哲也古手礼子渡辺純子武田大輝堤梨奈冨沢亮太西川悟青木保親
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p. 22-

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抄録

【目的】成長期腰椎分離症は、若年性腰痛患者の中に多く存在するが、早期診断にはMRI が必要であるため病院を受診しなければ診断は難しい。腰痛を発症しても病院を受診しない場合、成長期腰椎分離症が見逃されている可能性が考えられる。本研究の目的は学校保健やスポーツの現場における、我々が開発した自己記入式腰痛問診票の、成長期腰椎分離症スクリーニングとしての有用性を調査することである。

【方法】腰痛を主訴として来院した若年性腰痛患者(10-17 歳)145 例に対し、問診票を実施した。その内、発症後1ヶ月以内の急性腰痛で、MRI を施行した69 例を、成長期腰椎分離症を認めた群(成長期腰椎分離群)と認めなかった群(非分離群)に分類した。問診票は、年齢・性別・運動頻度(日数・時間)・疼痛(強度・状況・表現・動作・部位・範囲) を、各設問2~4 項目の選択式で、患者本人による自己記入にて調査した。2 群の問診票の回答を、過去の報告から成長期腰椎分離症である可能性が高い選択肢を高得点として順序付けし、採点した。そしてROC 分析を施行し、cutoff 値、Area Under the Curve(以下AUC)、陽性的中率、陰性的中率を算出した。

【説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に沿った研究であり、対象者に倫理的配慮を行った。

【成績】MRI の結果、成長期腰椎分離群24 例(男性21 例、女性3 例、平均年齢13.92±1.81 歳)、非分離群45 例

(男性28 例、女性17 例、平均年齢14.55±1.90 歳)であった。ROC 曲線からcutoff 値12 点(陽性的中率60.9%・陰性的中率78.3%)が算出され、AUC=0.731 と中等度の信頼性が得られた。14 点以上が最も陽性的中率が高く

85.7%、9 点以下が最も陰性的中率が高く83.3%であった。

【結論】本研究の結果より、学校保健やスポーツの現場で腰痛発症の若年者に問診票を実施してもらうことは、成長期腰椎分離症のスクリーニングとして有用であると考えられた。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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