関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-037 野球経験の有無が肘関節外反動揺性に与える影響
増間弘祥渡邊裕之門倉和成見目智紀倉坪亮太
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p. 221-

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抄録

【目的】肘関節外反動揺性(外反動揺性)は肘関節の投球障害を誘発する要因の一つとされている.外反動揺性の測定は超音波断層撮影装置を用いた方法が報告されている.また,簡易的な測定方法の一つとしてgravity stress を用いた方法がある.しかし,gravity stress を用いて外反動揺性の可否を検討した報告は少ない.そこで,本研究は野球経験の有無が外反動揺性に与える影響をgravity stress を用いた方法にて検討する.

【方法】 対象は男性の野球経験者20 名,未経験者20 名とした.なお,本研究は北里大学医療衛生学部研究倫理審査委員会の承認を得て実施した.測定に関して背景因子は年齢,身長,体重,競技歴の問診を行い,評価項目は佐々木らの方法に準じ,超音波断層撮影装置を用いて外反動揺性を測定した.被験者は背臥位,肩関節90°外転,肘関節90°屈曲,前腕中間位とした.検者は超音波プローブを上腕骨内側上顆と尺骨鉤状突起に当て,内側側副靭帯のfibrillar pattern を最も描出できる位置を測定対象画像とした.外反動揺性は上腕重量が負荷されるgravity stress の有無による2 条件にて腕尺関節の関節裂隙距離を計測し,その差分を算出した.野球経験の有無による外反動揺性の差をMann-Whitney のU 検定を用いて比較した.

【結果】投球側の外反動揺性は経験者が0.58mm,未経験者が0.37mm であり、経験者は未経験者に比して有意に高値を示し,非投球側は両群間で差を認めなかった.

【考察】投球側の外反動揺性において,経験者は未経験者に比して有意に高値を示した.このことから,経験者の投球側に外反動揺性が存在することが明らかとなった.投球動作は肘関節に外反力を加えるため外反動揺性を助長するとされている.そのため,経験者は外反動揺性が出現したと考えられる. 【結語】野球経験者は野球未経験者に比して,gravity stress による外反動揺性が存在することが明らかとなった。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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