主催: 公益社団法人日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
p. 224-
【背景】足部疾患のなかで代表的なものとして扁平足があり、その治療としてインソールがあるが、効果が不確定な部分がある。また看護師は長時間の立位を必要とするため足部の負担が大きいが、靴による予防策が十分にとられているとは言えない。
【目的】インソールが扁平足傾向の看護師において効果を発揮するかどうかを検討する。
【方法】研究デザインは前向き介入研究、対象はフットプリントにて扁平足傾向の基準(staheli-index)を満たした聖路加国際病院の看護師、2015 年11 月から2016 年2 月に行った。聖路加国際病院倫理委員会の承認下に対象者の同意を得てDYMOCO インソール®を使用し実施した。手順はまずインソール無しで日勤業務を1 日行い、その業務前後に疲労部位、疼痛、快適度に関する独自のアンケート、身体機能テスト(片足立位、ホップテスト)、歩数計測を実施。1 週間以降に同様の内容をインソール有りで行った。インソール有りと無しで日勤業務の歩数を比較、次に日勤業務前後での身体機能テストの変化率を算出し、それをインソール有り、無しで比較した。どちらもWilcoxon の符号付順位検定(p<0.05)で解析を行った。
【結果】フットプリント実施76 名中、扁平足傾向の基準を満たした本研究対象者は26 名(全例女性26.3±4.83 歳)であった。インソール快適度、疼痛、疲労部位、ホップテストについてはインソールの有無による有意差はみられなかった。片足立位時間では左足でインソール無しのほうが有意に日勤業務前後での改善がみられた(p<0.04)。
【考察】本研究では、インソールの効果が出なかった要因として、全員同一のインソールを使用したこと、看護師の業務内容が様々で先行文献とは大きく異なっていたこと、対象者のほとんどが無症状であったこと、使用期間が短期間であったことが考えられる。よって、インソールの効果を得るためには個別対応、有症状、長期での経過フォローが必要ではないかと示唆された。