関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-041 変形性股関節症患者に対する腹横筋単独収縮練習によって股関節痛が改善した一例
糸部恵太鶴岡祐治東史朗真鍋雅春陣内雅史豊田敬
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p. 225-

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抄録

【はじめに】変形性股関節症(以下,股OA)は歩行時痛,動作時痛を有することが知られている.骨盤前傾位を呈している股OA 患者では腹横筋の筋活動が健常人よりも低下しており歩行時や下肢伸展挙上運動(以下,ASLR)において腸腰筋の筋活動が得られにくいと報告されている.臨床にてASLR の際に骨盤帯を同側回旋し下肢を挙上してくることを経験した.そこで股関節痛を有する股OA 患者に対し腹横筋単独収縮練習(以下,ドローイン)を実施した結果,上記の改善が見られたのでここに報告する.

【症例提示と方法】症例は61 歳女性.診断名は右変形性股関節症.股関節JOA スコア77 点.股関節ROM は屈曲

110°,伸展5°,外転20°.疼痛はVAS4.3mm,運動時,開排時に出現した.被験者に十分な説明を行い同意を得た上で行った.方法は患側を挙上側とし背臥位でのASLR(条件1)を実施し,ドローイン後もう一度測定(条件2)した.測定肢位は股・膝関節中間位,足関節背屈0°,SLR 挙上角度は0°,30°,60°とした.また骨盤帯の回旋角度を測定するため,両側ASIS を結んだ線上に傾斜角度計とASIS からベッドへの垂線に定規を両側に設置した.安静臥位を基準とし,健側に対し患側のASIS がどれだけ回旋したかを左右の変化量として測定した.

【結果と考察】結果は,条件1 では30°健患差-2.2cm,傾斜角-5°.60°健患差-5.4cm,傾斜角-10.5°.条件2 では30°健患差-0.7cm,傾斜角-1.5°.60°健患差-2.5cm,傾斜角-5°であった.またドローイン後,骨盤帯回旋量の減少,疼痛は股関節痛の改善が見られた.30°に比べ60°にて大きく数値が変化した原因として,先行研究では腹筋群の筋活動量は60°以降で優位に上昇すると報告しており,体幹,骨盤帯の安定性が高まるため骨盤帯の回旋量,傾斜角は小さくなり,同時に股関節の制御への負担が減少したため股関節痛が改善したと考えられる.今後は症例数を蓄積し腹横筋と骨盤帯回旋量の関係を追求していきたい.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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