関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-043 頸髄症に対して姿勢筋緊張の調整と神経筋促通が基本動作獲得に有効であった症例
西尾翔多阿部夏織
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キーワード: 頸髄症, 筋緊張, 基本動作
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p. 227-

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抄録

【はじめに】頸髄症は運動麻痺や感覚障害など多様な症状を呈し日常生活に大きく影響を及ぼす.今回頸髄症に対し姿勢筋緊張の調整と神経筋促通訓練が基本動作獲得において有効であった症例を経験したため報告する.

【症例紹介】50 歳代男性.病前ADL 自立.診断名:頸髄症(C3-C6)術式:脊椎固定術,椎弓切除術,椎弓形成術現病歴:塗装業,作業中に転倒,翌日より頸部痛増強あり.近医を受診し経過観察となるも右頸部痛増強,四肢脱力,しびれの出現により当院受診.精査目的で入院したが症状が進行し手術施行.

【説明と同意】報告にあたり本人に説明し,同意を得た.

【経過】術前B.I0/100.MMT 左右上肢2,下肢0-2,体幹1,右下肢深部感覚脱失.術後2 日目より離床開始.初回介入時は仰臥位で背部の筋緊張亢進,頸部疼痛NRS10.坐位にて後方へ倒れ込み,姿勢保持困難.筋緊張の調整と筋出力の増強としてコンディショニングと筋緊張が減弱する肢位での神経筋促通訓練を実施.48 病日に坐位保持,起居動作,移乗動作が自立.歩行は72 病日に交互型歩行器で監視10m 可能.84 病日にリハビリ目的で転院.転院時

B.I50/100.MMT 左右上肢3-4,下肢2-4,体幹3.背部痛NRS2.

【考察】本症例は頸髄症による四肢・体幹の筋緊張低下,感覚障害と手術による頸部と背部筋緊張亢進に起因した筋緊張のアンバランスにより,基本動作や姿勢保持が困難であった.本来筋緊張とは動作を行うにあたり,姿勢の変化に合わせ最適な緊張状態を変化させていく必要がある.しかし本症例では筋出力の低下や頸部疼痛により困難であった.そのため,まずリラクゼーションやポジショニングによる疼痛管理,筋緊張が亢進しにくい姿勢での各関節運動の誘導,筋促通運動を実施.筋緊張のアンバランスが軽減された後,日常生活動作訓練を実施した結果,転院時には基本動作が自立,歩行は歩行器歩行監視で可能となった.筋緊張の調整や神経筋促通運動の併用は基本動作の獲得に有効な手段であることが考えられた.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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