関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-045 立ち上がり動作時の屈曲相に対して介入後、伸展相の後方重心が軽減した症例
鈴木結貴川嵜康太
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p. 229-

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抄録

【はじめに】本症例は、立ち上がり動作時に後方重心が著明であり動作自立が困難であった。今回は立ち上がり動作時の安定性向上を目的とし、長期的な介入の一部である即時効果に着目し報告する。ご本人と御家族に本発表の説明を十分に行い同意を得た。

【症例紹介】80 歳代男性。診断名:脳挫傷(左前頭葉)、急性硬膜下血腫(左前頭葉、左側頭葉)。受傷機転:買い物帰りにリュックを背負っている時に転倒。既往歴:左脳挫傷(4 年前)、認知症。関節可動域:体幹および股関節、足関節に制限あり。

【方法】動画にて40 分間の理学療法介入前後の立ち上がり動作を比較した。撮影時は座面・足部の接地場所・カメラを固定した。理学療法では、立ち上がり動作の屈曲相の体幹前傾に伴い骨盤前傾と下腿前傾、足部への荷重を徒手的に誘導した。また屈曲相から殿部離床への移行時に足部へ荷重を行うように促した。

【結果】介入前後で比較すると殿部離床から伸展相に変化が見られた。介入前の立ち上がり動作は、殿部離床時に体幹伸展を行い、伸展相に体幹後傾位の状態で股関節・膝関節伸展し後方重心であった。介入後の伸展相では体幹前傾位で保持した状態で股関節・膝関節伸展が行えており、屈曲相より両上肢を挙上していた。

【考察】本症例は立ち上がり動作時の屈曲相に着目した介入により、殿部離床から伸展相に改善が見られた。介入によって体幹前傾位を保持した状態で屈曲相・殿部離床・伸展相に移行できたため、立ち上がり動作時の後方重心が軽減したと考える。後藤らは両上肢挙上位での立ち上がり動作では体幹の前傾は減少されると述べている。本症例も両上肢挙上により体幹と股関節の関節可動域制限による体幹前傾不足を代償していたと考えられる。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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