関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-050 重度脳梗塞患者の家族指導を積極的に行った症例 -在宅復帰を果たした症例-
平野誠一郎増渕和宏鷺池一幸
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キーワード: 家族指導, 在宅復帰, 脳卒中
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p. 234-

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抄録

【はじめに】重度脳梗塞患者に対して、起居・移乗の介助方法などの家族指導を行い、退院後、家族に介助の実施状況を問うアンケート調査を行ったので、ここに報告する。

【方法】症例はA 氏、84 歳男性。右脳梗塞。初期評価時、起居動作軽介助、座位軽介助、立位・移乗2 人介助。妻と2 人暮らしで長女、次女の面会も多かった。家族指導は3 つの点に工夫した。1 点目は病棟でも家族との移乗練習を実施したこと、2 点目は複数人の家族への指導を行ったこと、3 点目は資料配布を行い、介助方法を統一させたことである。理学療法で移乗が1 人介助で安定したため、家族指導を開始。介護老人保健施設(以下、老健)に転院し、その2 か月後に、起居・移乗の実施状況、疑問点などを問うアンケートを実施した。本症例報告は個人情報が特定できないように匿名化を行った。

【結果】最終評価時に起居動作・座位・立位監視、移乗軽介助まで改善し、長女、次女、孫の介助で離床が可能となった。アンケートにより、老健でも家族との離床が疑問なく実践できており、自宅退院が可能となったことがわかった。

【考察】先行研究で在宅復帰の要因として、家族の意向や同居家族の人数が挙げられている。そのことから複数の家族に指導を行ったことで介護負担が軽減し、また家族が機能改善を実感したことで家族の意向に変化が生じたと考えた。また移乗能力も在宅復帰の要因として挙げられている。そのことからA 氏が家族の軽介助により移乗が行えたことも在宅復帰の要因になったと考えた。排泄に介助を要する患者の過半数が在宅復帰できていない現状がある。

A 氏の排泄はオムツ全介助だった。排泄への対策次第で、さらに介助量が減った可能性があった。

【まとめ】積極的な家族指導により、A 氏の立位や移乗などが改善し、家族との離床や在宅復帰が達成した。また、家族の意向や介護力に影響を与えた。特に移乗や排泄の達成は在宅復帰に関わることが示唆された。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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