関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-052 閉ざされた生活を防止する為の退院支援~不整な坂道・階段に囲まれた自宅~
桑原奈菜篠田麻衣
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キーワード: 歩行, 閉じこもり, QOL
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p. 236-

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抄録

【はじめに】本症例は脳梗塞発症後,右片麻痺を呈しリハビリによって屋内歩行自立したが,自宅退院後,環境因子が外出を阻害する大きな要因となることが予測された.閉じこもりは,活動能力の低下及び要介護状況発生のリスクファクターであると言われている.今回,身体機能面でのアプローチに加え,心理的,環境面にも着目し,外出を支援する手段を検討した.本人に症例発表の目的を説明し同意を得た.

【症例紹介】60 代男性.H27.9 にアテローム血栓性脳梗塞を発症し右片麻痺,運動性失語を呈した.54 病日目にリハビリ目的にて当院転院となり158 病日目に日中棟内T-cane 歩行自立.Br.StageIII-II-III.FBS 34/56 点.FIM94 点(運動62 点).病前は旅行会社に勤めており,自立心高く,Hope は歩いて帰りたいであった.環境:自宅前に約500m の不整な坂道,階段があり,歩行での移動は困難な身体機能だった.車椅子移動は男性2 人の介助を要した.

【介入と結果】 入院当初,本人・家族共に退院後の生活に不安を訴えており,外出については諦めの言葉が聞かれていた.環境上の理由から退院後の送迎サービスの利用は月4回までという制限があった.今回,身体的なアプローチに加え,家族の介助で外出が出来るようアシスト型車椅子の提案や訪問リハビリ導入による自宅前の屋外歩行練習の提案,リハビリ特化型デイサービスの利用を検討した.結果,本人・家族共に外出に前向きになり自宅退院となった. 【考察】竹内らは,身体的,心理的,環境要因が相互に関連して閉じこもり症後群が発生してくると述べている.今回環境因子に着目して退院支援を行った事で,外出という希望が心理的不安の軽減に繋がったと考える.入院期間中に身体機能面のみならず環境面に着目して外出手段やサービスを検討することは,閉じこもり防止の一助になると考える.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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