関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-053 右片麻痺患者に対する再転倒防止アプローチ~役割確立と環境設定~
須藤彩香篠田麻衣白土勇士足立菜央
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p. 237-

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抄録

【はじめに】本症例は左視床出血発症後,当院にてリハビリ加療し自宅退院となった.今回,自宅で家事動作中に転倒し腰椎圧迫骨折受傷.本人の役割確立とそれが安全に行えるよう自宅の環境設定を行うことで再転倒予防に繋げた.尚,発表に際し本人に学会発表の目的を説明し同意を得た.

【症例紹介】70 歳代女性.左視床出血発症により右片麻痺を呈し,当院でリハビリ加療後,屋内車椅子自操自立,T 字杖歩行近位監視で可能となり自宅退院した.退院後24 日目,自宅で米櫃から米を取ろうとし転倒.第3 腰椎圧迫骨折受傷した.受傷後17 日に当院再入院.入院時,Br.stage 右3-3-4で腰部にはNRS3~7 の動作時痛が生じて

いた.FBS は28 点であった.起居動作は支持物あり軽介助,移動は車いす全介助であった.

【問題点とアプローチ】症例はAid for Decision-making in Occupation Choice(以下ADOC)の結果で料理が挙げられていた.米を炊く動作を本人の役割として提案し家屋調査を再度実施,環境設定を行った.移動は車椅子,米をとぐ動作は立位とし,家具の配置を変更した.受傷機転となった米櫃から米を取る作業は家族の協力を得て,米とぎは1人で行える方法を考案した.訓練では腹部を中心とした筋力訓練と立位バランス訓練を実施した.

【結果】退院時,腰部の疼痛は消失しFBS は36 点となった.基本動作は自立し,屋内車椅子自操自立となった.現在自宅では掃除等の家事動作も行っており,米を炊く動作をきっかけに活動範囲の拡大に繋がった.

【考察】症例は夫と娘と同居しており脳卒中発症前,家事全般は症例の役割であった.転倒時の背景とADOC の結果より症例にとっての料理の重要性を感じた.症例に役割として家事動作を提案し,自宅の環境設定を行うことで再転倒の予防に繋げた.今回の症例を踏まえ, ADL の環境設定だけでなく,本人の役割を確立しIADL 獲得に向けた環境設定を行うことが必要であると考える.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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