関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-054 慢性閉塞性動脈硬化症(ASO)を合併した急性心筋梗塞(AMI)症例に対するトレッドミル歩行の運 動負荷
曽部健太山本智史遠藤宗幹
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p. 238-

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抄録

【目的】ASO には,歩行速度2.4~3.2km/h のトレッドミル歩行が有効と報告されている.AMI にASO を合併した症例に心肺運動負荷試験(CPX)を行い,嫌気性代謝閾値(AT)の心拍数(ATHR)を基準としたトレッドミル歩行を実施した症例を経験したので報告する.〈BR〉【症例紹介】60 歳代男性.3 枝病変のAMI を発症し,冠動脈インターベーションを施行した.既往歴にFontaine 分類II 度のASO と糖尿病があり,100m 程度で下肢痛が出現していた.当院入院時,左室駆出率は43.5%,足関節上腕血圧比は右下肢0.54 であった.初期評価の6 分間歩行試験(6MD)では200m で下肢痛が出現し,300m で息切れや中等度の下肢痛により自己中断した.〈BR〉【説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき発表内容を説明し,書面にて同意を得た.〈BR〉【経過と考察】入院9 日目にエルゴメータ10w30 分より開始し,漸増させた.56 日目に初回CPX を実施し,最大酸素摂取量は16.9ml/kg/min であった.エルゴメータでAT レベルの25w30

分,トレッドミル歩行でATHR や下肢痛の出現を目標に歩行速度1.5km/h 傾斜5%10 分2 セットから開始し,歩行速度1.7km/h 傾斜5%10 分2 セットまで漸増させた.77 日目に再度CPX を実施し,最大酸素摂取量は18.6ml/kg/min と改善し,6MD は350m で下肢痛が出現したが自己中断することなく420m 歩行可能となった.AMI にASO を合併した症例に対し,ATHR を基準とするトレッドミル歩行を実施することで間歇性跛行の改善が可能となった.近年,廃用症候群を呈する高齢者が増加しており,ASO の高齢者は多くの合併症があり,適切な運動処方で運動療法を実施することで間歇性跛行が改善すると考えられる.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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