関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-057 胸椎圧迫骨折を呈した糖尿病症例への理学療法介入~足病変の予防に着目して~
安丸直希田沼昭次
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p. 241-

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抄録

【目的】糖尿病足病変では足部潰瘍から感染を起こし、治療困難な場合は切断に至り、さらに生命予後は不良と言われている。今回、糖尿病足病変の発症リスクがある胸椎圧迫骨折症例を担当した。本症例に対する介入の経過と患者教育について考察する。

【症例紹介】糖尿病既往のある50 歳代女性。既往に糖尿病網膜症・腎症・神経障害あり。入院前は日常生活動作自立。両下腿浮腫、尿閉、歩行困難を主訴に当院受診。腎不全の診断にて入院。腰椎MRI により第11 胸椎圧迫骨折の所見あり。

【説明と同意】本人に本報告の旨を口頭にて説明し同意を得た。

【理学療法評価】第7 病日より理学療法開始。HbA1c15.0%、血糖449mg/dl、Cr6.53mg/dl。医師指示は体幹装具着用し歩行練習可。主訴は下肢筋力低下。希望は家事動作獲得。両足部は皮膚乾燥し、右下腿遠位部の裂傷と前足部胼胝あり。第11 胸椎周囲に背部痛あり(NRS3)。関節可動域は両足背屈0°。筋力MMT は両殿筋群2、両腸腰筋3。軽介助にて杖歩行可能。BI45 点、FIM86 点。目標は屋外杖歩行自立、家事動作獲得、糖尿病足病変予防とし、関節可動域練習、下肢筋力練習、歩行練習、日常生活動作練習、患者教育を実施。

【結果】第48 病日、HbA1c7.6%、血糖117mg/dl、Cr0.29mg/dl。主訴は四肢末端の痺れ。両足部の皮膚乾燥と前足部胼胝は残存。第11 胸椎周囲に背部痛(NRS5)。関節可動域は両足背屈5°。筋力MMT は両殿筋群2、両腸腰筋4。両側ロフストランド杖使用し屋外歩行自立。BI100 点、FIM119 点。装具装着下で糖尿病足病変のセルフケアが自立し、家屋訪問指導を行い第49 病日に自宅退院。

【考察】糖尿病診療ガイドラインによると、糖尿病足病変の予防には、足の定期的な診察や糖尿病患者へのフットケア教育、糖尿病足病変のチーム医療を行うことが推奨されている。本症例は装具装着により体幹可動域制限があるため、フットケアに関する患者教育がより必要と考えられた。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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