関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-060 歩行補助具の選択に際して考慮すべきバランス因子について
小口健太
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p. 244-

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抄録

【目的】 回復期病棟において、退院後に再転倒し再入院する患者を目にする。その原因として、歩行能力に対する歩行補助具の選択が適当でないことも一因として考えられる。歩行補助具の選択に関して、歩行能力、筋力との検討はあるが、バランス能力との関係について報告はない。そこで今回は、歩行補助具とバランス能力との関係性を調べ歩行補助具選択の一助としたいと考える。なお、本研究は、所属施設の倫理委員会の承認を得て実施した。今回用いたデータに関して、本研究以外では使用しないこと、不利益には繋がらないことを説明し、口頭による同意を得た。

【方法】 対象は当院入院中の患者のうちH27 年8 月から11 月退院予定の患者63 名である。(年齢78,5 歳±10,7 歳、脳血管疾患21 名、運動器疾患42 名)方法は独歩群とT字杖群、固定歩行器群、シルバーカー群のBerg Balance Scale(以下BBS)の各項目との関係性をFisher の直接確立法を用いて比較した。有意水準は1%未満とした。

【結果】独歩群とT 字杖群では、BBS との間で有意差は出現しなかった。独歩群と固定型歩行器群では片脚立位の項目で有意差がみられた。(p<0.01)独歩群とシルバーカー群では踏み台昇降の項目で有意差が見られた。(p<

0.01)【考察】独歩とT 字杖ではバランス能力との間に大差がないことが示された。T 字杖を「転ばぬ先の杖」として使用している事も影響していると考えられる。固定型歩行器は左右の支持着底面が比較的広い特徴がある。一方、片脚立位は支持基底面が狭い高度なバランス課題である。臨床的にも片脚立位が困難な症例は多いが、片脚立位の保持時間が適応を考える上で有用だと示唆された。 シルバーカーは前方への重心移動は大きいが、上下の重心偏移は少ない傾向にある。一方、踏み台昇降では後方から前上方への重心コントロールが必要となる。そのため、前後方向の重心コントロールの評価が適応を考える上で有用だと示唆された。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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