関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-105 家族の介護不安に対する家族指導を中心とした介入により、在宅復帰を果たした症例
川波真也居村茂幸神林薫
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p. 289-

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抄録

【はじめに】今回、症例と主介護者の妻が要介護4 であり、キーパーソンの長女、次女が在宅介護に不安を抱えている症例を担当した。キーパーソンの不安感に対し介護技術指導、相談支援を行い、在宅復帰を果たした例を以下に報告する。

【倫理的配慮】報告の主旨を本人、家族に説明し同意を得た。

【症例紹介】80 歳代男性、要介護4。転倒により腰椎圧迫骨折を受傷。リハ目的で当院に入院し、在宅復帰を目標に早期に理学療法開始。既往歴として60 歳代に脳梗塞を発症し、自宅内を伝い歩きで生活していた。退院時はT 字杖歩行見守りであったが、立位バランスが低下し床上動作、浴槽へのまたぎ動作に介助を要していた。

【家族状況】主介護者の妻と2 人暮らし。妻はT 字杖歩行自立だが、脊柱管狭窄症の既往から立位が不安定な状態で夫の入浴介助を実施していた。訪問リハを含む介護保険サービスを利用していたが、2 人の娘は県外在住で老々介護に不安があり、長女自身も腰痛により不安を抱えていた。

【対応】妻、長女、次女に対しZarit 介護負担尺度日本語版の短縮版にて介護負担感の評価を行ない、不安事項を聴取した。不安事項として、基本動作や床上動作の介護方法、妻の入浴介助に不安があること確認された。そのため、それらの技術指導を1回30 分間で週3 回の頻度で30 日間実施した。また退院時にサービス調整として訪問入浴を導入し、退院時に介護負担感を再評価した。

【結果】介護負担感に変化はみられなかったが、在宅介護のリスクに理解が得られ、主介護者を中心に介護技術の向上がみられた。また、技術指導や訪問入浴の導入により在宅復帰への不安感の軽減が図れた。

【考察】仲林らは脊椎圧迫骨折患者の入院長期化の要因として、在宅復帰に家族の不安があることを挙げ退院可能な時点で家族指導を行うことが重要としている。今回の症例も家族指導、サービス調整を行ったことで不安感が軽減し、在宅復帰へ繋がったと考える。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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