関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-106 大動脈解離術後に脊髄梗塞と脳梗塞を合併した患者に対し地域包括ケア病棟により自宅退院 に至った一例
小峰侑真阿部夏織石井大輔
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p. 290-

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抄録

【はじめに】大動脈解離で大動脈分岐に狭窄や閉塞が発生すると,約3 割に四肢や臓器に虚血が発生すると報告されている.今回急性大動脈解離術後に脊髄梗塞と脳梗塞を合併したが,地域包括ケア病棟でのチームアプローチにより自宅退院に至った症例を経験したので報告する.

【症例紹介】75 歳男性、診断名:脊髄梗塞 主訴:早く家に帰りたい 現病歴:外出中に急性大動脈解離StanfordA 型を発症.他院にて人工血管置換術を施行.術後に脊髄梗塞と脳梗塞を発症.リハビリ目的で当院へ転院.

【説明と同意】本症例には今回の発表の主旨を説明し、同意を得た.

【経過】入院2 病日よりリハビリ開始.初診時所見は両下肢MMT2,BRS-T 左VI‐VI‐I,右下肢に軽度の表在感覚鈍麻,左下肢に重度の表在・深部感覚鈍麻. BI10 点,基本動作は全般的に中等度介助.基本動作訓練,ADL 訓練,筋力訓練を実施.併せて看護師への介助指導を実地.30 病日より家族指導を実施.50 病日には起居動作自立,座位保持,移乗見守りとなる.その後MSW とケアマネージャーとの連携により在宅生活に向けた環境設定を行い,70 病日自宅退院.退院時は車椅子駆動も自立.BI35 点BRS-T はVI‐VI‐V.

【考察】本症例は脊髄梗塞に伴う対麻痺を呈していたが地域包括ケア病棟でのチームアプローチにより自宅退院に至ったと考える.その要因を1)毎日の家族参加により,意欲向上を図ると共に訓練量の増大と家族の介助技術向上が得られ,移乗,移動およびADL 能力がしたこと2)多職種との情報共有によるチームアプローチと地域との連携による在宅に向けての環境調整ができたこと3)看護師との協働によりリハビリ時間外も離床を促し活動性向上につなげられたことと考える.これらにより自宅退院が可能となったと考える.地域包括ケア病棟では急性期病棟と在宅サービスとの連携が必要であり,早期から在宅環境に合わせたADL 能力の回復を目指すことが大切であり,そのために多職種との協働と連携,家族指導が重要と考える.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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