関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-107 右人工膝関節全置換術(以下TKA)後、自宅復帰への不安感が強く、リハビリ病院へ転院した症 例
岡本慎太郎中野雄一朗竹内弘毅早稲田明生
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p. 291-

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抄録

【はじめに】当院ではTKA のプロトコルを導入しており、21 病日目で自宅退院と設定している.また2015 年度、当院にてTKA を施行した症例は38 例41 膝で、うち34 例37 膝(90.2%)が自宅退院している.症例は、対側TKA 施行後、難渋した経緯がある.今回、右TKA 施行し、退院時には独歩自立レベルであったが、自宅退院を望まず、リハビリ病院へ転院した症例を経験したので以下に報告する.なお、ヘルシンキ条約に則り、症例に対し同意を得た.

【症例紹介】70代女性.150.3cm、69.0kg、BMI30.7.独居.術前ADL自立.20年前より両膝痛出現し、半年前に左TKA 施行、今回右TKA 施行した.術前の右膝関節可動域(以下ROM)は屈曲105°伸展-15°、筋力は徒手筋力検査法

(以下MMT)で下肢3 体幹3 であった.疼痛は右膝関節内側部に運動時と荷重時に認め、腫脹と熱感は右膝関節全体に認められた.日本整形外科学会OA 膝治療成績判定基準(以下 JOA)は50 点、FTA186°であった.

【経過】術後理学療法はTKA プロトコルに従い、手術当日より介入した.7 病日目に歩行器歩行自立、11 病日目にT 字杖歩行自立、14 病日目に階段昇降自立し、自宅退院可能なADL レベルとなったが、21 病日目に後療法継続目的で転院となった.最終評価の膝関節ROM は屈曲115°伸展0°.MMT は術前と同程度であった.炎症所見は消失していた.JOA は70 点、FTA175°であった.

【考察】自宅退院に向け、リハビリ介入し身体機能の改善は図れたが、不安感が残り自宅退院へ至らなかった.不安感は患者個人の環境や同居者・介護者の調整等の社会的要因が関与していることが考えられる.本症例は前回の経緯もあり、患者および家族への社会的背景に対する介入が不十分だった事が考えられる.今後、上述した内容も重視する事で自宅退院に至るのではないかと考えられる.

【まとめ】自宅退院には精神面や社会的環境へアプローチしていく事も大切であると考えられる.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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