関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-118 慢性期脳卒中片麻痺患者に対するHAL ロボットを使用した症例
橘田俊宏
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キーワード: 脳卒中, ロボット, 歩行
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p. 302-

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抄録

【目的】本症例はCYBERDYNE 社製ロボットスーツHybrid assistive Limb(以下HAL)の両脚型HAL を慢性期脳卒中片麻痺患者に使用し、運動学習が困難な患者に対してプログラム前後に効果が得られるかを検討したので報告する。

【対象及び方法】対象は外傷性脳内出血後発症から13 年経過。重篤な高次機能障害及び片麻痺を呈した30 代男

性。Br.stage 上下肢2。HAL を用いた歩行練習を週2 回(装着10 分歩行練習30 分装具歩行20 分)12 週間計26

回実施した。歩行評価はHAL 装着前のAFO 装着歩行(以下A)HAL 装着時歩行(以下B)HAL 着脱後装具歩行

(以下C)の計3 回を実施。評価項目は10m 快適速度、時間、歩数、麻痺側下肢荷重率、FRT を数値化。麻痺側荷重率は体重計の麻痺側最大荷重を5 秒間保持値を体重比で求めた。処理は関連のある2 群の母平均の差の検定と推定検定を用いて有意水準を5%未満とした。研究様式はシングルケーススタディABA 型を用いた。

【倫理的配慮、説明と同意】本症例はヘルシンキ宣言に基づき協力者に事前の説明を行い書面で同意を得た上で行った。

【結果】各条件の結果、AC 歩数p<0.05 秒数p<0.05 速度p<0.05 と有意差が認められる結果となった。麻痺側荷重率及びFRT の項目に関しては平均値に改善傾向がみられた。

【考察】装着前後に良好な信頼性が確認された。症例は足底圧覚が鈍く重心位置の把握困難からHAL 時に麻痺側筋出力促通と視覚的フィードバックを利用した歩行アシスト及び荷重訓練の結果、本来の歩行パターンに近づけたことが歩行速度上昇や歩幅拡大による支持性の向上、筋への促痛効果により下肢の振り出しがスムーズになったと考える。しかし、即時効果に改善傾向がみられたが次回への持続的効果に差異を認められなかった。

【理学療法学研究としての意義】HAL 装着下での動作練習は歩行アシストや本来の歩行パターンを実現することが出来る可能性が示唆される。今後は症例数を増やし、比較を検討していきたい。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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