関東甲信越ブロック理学療法士学会
Online ISSN : 2187-123X
Print ISSN : 0916-9946
ISSN-L : 0916-9946
第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
会議情報

ポスター
P-119 復職に向けて多重課題,職場との連携を行い退院となった一症例
佐藤詩菜田中宇徳
著者情報
キーワード: 復職, 多重課題, 連携
会議録・要旨集 フリー

p. 303-

詳細
抄録

【はじめに】脳梗塞による片麻痺,高次脳機能障害を呈した患者の復職までを担当した.注意障害に対して多重課題と職場への連携を行い,復職が可能となったためここで報告する.

【症例紹介】50 代男性,脳梗塞(視床・後頭葉)により右片麻痺,右同名半盲を呈した.第23 病日に当院転院.Brs5 -5-5,軽度感覚鈍麻.入院時,基本動作軽介助,歩行軽介助.また,高次脳機能障害では,SLTA,BIT,リバーミード検査でもカットオフ値以下を認め,注意障害,病識,危険認識,記憶力低下,失語がみられた。病前,ADL 自立,独居であった.

【説明と同意】本報告においてヘルシンキ宣言に基づき本人へ説明し同意を得た.

【経過・結果】初期は身体機能面中心に介入,歩行動作は第90 病日にフリーハンド歩行院内自立レベルまで向上.復職には通勤のため屋外歩行が必須であった.外出訓練では,注意散漫であり,転倒,周囲の人や物へ衝突する危険高く,屋外歩行自立には,周囲の環境の把握が必要である為,多重課題を用いた歩行練習を実施.また,退院後の生活を考慮し,入院中に職場へ高次脳機能障害の理解の促しや対応方法,同居人への注意事項の提示を行うことで,入院時より復職へ向けた連携と環境設定を行い,結果,退院一週間後,第106 病日の復職が可能となった.

【考察】本症例は復職をする上で通勤する際に屋外歩行が必要であった.渡邊の報告では,高次脳機能障害者の

80%が外出頻度の減少,また,90%が同居での生活となり,介助者が必要となっている.今回,多重課題を実施し,周囲の人や物へ注意を向けることが可能となり,危険性が改善,屋外歩行が自立となった.また,職場では,業務の単純化,ダブルチェックにより,業務遂行が可能であるとし,受け入れが可能となったと考える.結果,社会生活を目標とする場合は,病院スタッフに留まらず,職場等への連携も必須であると考えた.

著者関連情報
© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
前の記事 次の記事
feedback
Top