関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-066 人工関節全置換術(THA)術後、術式による違いが入院日数、歩行能力に及ぼす影響
浮貝美穂渡部幸司渡邉善行大槻暁
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キーワード: THA, DAA, PA
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p. 66-

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抄録

【目的】当センターは昨年、人工股関節全置換術(以下、THA)に対する術式として、前方アプローチ(以下、DAA)と、後方アプローチ(以下、PA)の両方を行っていた。DAA は低侵襲侵入法のひとつであり、PA と比較して機能回復がより早期であると報告されている。しかし、入院期間については報告によって結果が異なり、一定の見解が得られていない。そこで、当センターにおいてDAA 群とPA 群を比較し、検討した。

【方法】平成27 年4 月1 日から平成28 年3 月31 日までに当センターでTHA を施行した24 名を対象とした。DAA 群は9 名(男性1 名、女性8 名)、PA 群は15 名(男性1 名、女性14 名)であった。各群の基礎情報の値は、年齢はDAA 群72.8 歳、PA 群69.5 歳、BMI はDAA 群24.5kg/m²、PA 群21.5 kg/m²と有意差は認められなかった。各群の術後入院日数を対応のないt 検定にて比較した(有意水準5%)。さらに、手術前のDAA 群とPA 群、退院時のDAA 群とPA 群の歩行能力を独歩、杖歩行、バギー歩行、車椅子の4 段階とし、Mann-Whitney 検定にて比較した。なお、データは個人が特定できないように管理して行った。

【結果】DAA 群の術後入院日数は23.3±7.7 日(平均±標準偏差)、PA 群の術後入院日数は34.6±10.1 日となり、

2 群間に有意差を認めた。手術前のDAA 群とPA 群、退院時のDAA 群とPA 群の歩行能力に有意差は認められなかった。

【考察】早期退院を目指す際に、歩行能力の獲得が必須である。今回、手術前、退院時の歩行能力に有意差が認められなかったことより、手術方法が入院期間に影響を及ぼす一つの要因となり得るのではないか。しかし、当センターのプロトコールでは、DAA に比べPA は1 週F.W.B.になるのが遅い。そのため手術の侵襲の違いが早期の歩行獲得を齎したとは言えない。今後の課題は、術式により侵入方法に違いがあるため介入方法が異なることを考慮し、治療を行う必要があると考える。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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