関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: F-048
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フレッシュマン
血液透析患者の大腿骨頸部骨折術後に身体機能低下を防いだ症例〜BCAA製剤を用いて~
中村 誠寿丸毛 達也
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抄録

【目的】血液透析(以下:HD)患者は活動量低下に伴い骨格筋量が減少すると報告されている。筋骨格量減少を予防する方法の中に分岐酸アミノ酸(以下:BCAA)製剤があり,これは腎臓に最小限の負荷で筋骨格量の促進を促し,蛋白異化を抑制するものとして注目されている.今回,40年間HDを継続している方の大腿骨頸部骨折術後の患者を担当する機会を得た.術後炎症とHDによる慢性炎症にて身体機能低下が懸念される中,術翌日からリハビリ介入し,良好な成績を得たためここに報告する。

【方法】対象者は60歳代女性.左大腿骨頸部骨折の診断にて当院で人工骨頭置換術(以下:BHP)を施行した方.既往には慢性腎臓病,HD(40年間)がある。 術後の評価項目は,患部NRS,Hand Held Dinamomator(以下:HHD)を使用しての膝伸展筋力・股関節外転筋力の測定,TUG,体重とした.評価期間は,術前(2019/2/18),術後1週目(2/26) 2週目,退院時(3/7)とした。 対象者にはCKCエクササイズを中心に,歩行練習等も実施した。個別リハビリ終了後に1日1パックのBCAA含有ゼリーを摂取した.

【倫理的配慮】対象者に書面・口頭にて説明・同意を得た。

【結果】NRSは術後1週間に0に減少.股関節外転筋力は術後1週目で患側で0.9kgf,4週目の退院時に3.5kgfまで上昇,膝伸展筋力は術後1週目で6.4kgf退院時は9.1kgfと上昇した.TUGは24.37秒から 23.86秒と改善.体重は入院時,40.5kgで退院時も変化はみられなかった.

【考察】リハビリ直後から筋破壊や蛋白異化は始まるが,運動直後〜運動後の2時間は蛋白質の経口摂取により筋蛋白合成が促進されている状態である.中でもBCAAは腸管での吸収が蛋白質と比較し早く,30分程度にて血中の濃度がピークに達すると言われている.そのためリハビリ直後の摂取により蛋白異化が最小限に抑制できたと考える.

【まとめ】今回の結果から,BCAA含有ゼリーのリハビリ後の摂取が筋骨格量の維持の一助になったと考える.

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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