関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: F-063
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フレッシュマン
頚髄損傷患者に対する感覚刺激が片脚立位に及ぼす影響~シングルケースABABデザインによる比較~
國友 公太吉川 大志田口 貴之
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抄録

【背景】足底感覚障害により歩行の回復に難渋することがある.津田らは片脚立位時間が歩行自立度に影響することを報告している.

【目的】頚髄損傷の一症例における足底感覚の改善を目的とした介入が片脚立位時間の延長に繋がるかを検討した.

【症例】40代男性でX日に転倒受傷.症状悪化に伴いX+73日にC4/5 5/6前方固定術を施行.復職希望もありX+95日にリハビリテーション目的にて転院となる.

【初期評価】JOAスコアは10点,Nurick scaleは1点,患側(右下肢)表在感覚7/10.非介入期初日の平均片脚立位時間は健側(左下肢)8.62秒/患側4.37秒.10m歩行速度は7.79秒であった.

【方法】研究デザインには第1非介入期(A1),第1介入期(B1),第2非介入期(A2),第2介入期(B2)によるABABデザインを用いた.介入期間は各3日,計12日間とした.非介入期では筋力強化訓練や歩行訓練など通常の理学療法の後,片脚立位時間を左右3回ずつ毎日測定した.介入期では100円で販売されている竹踏みにより1 分間の感覚刺激入力を行い,その後片脚立位時間を計測した.片脚立位時間の変化はグラフ化し目視法により効果を判定した.対象者にはヘルシンキ宣言に基づき被検者には説明し同意を得た.

【結果】JOAスコアは16点,Nurick scaleは2点,表在感覚は10/10であった.介入前後の片脚立位時間(秒)の平均をA1→B1→A2→B2の順に記載する.健側は8.62→24.43→19.92→25.47,患側は4.37→8.77→11.32→ 13.76であった.10m歩行速度は7.06秒であった

【考察】川口らは足底感覚情報が姿勢制御能力に影響を及ぼすと報告している.本症例においても足底感覚が片脚立位時間の延長と歩行に影響を及ぼす可能性が示唆された.これは竹踏みによる感覚刺激が足底の感覚受容器を賦活させ,姿勢制御へ影響を及ぼしたのではないかと考える.頚損患者に対する足部への刺激は有効な治療である可能性が示唆された.

【結語】本症例における竹踏みを使用した感覚刺激は,片脚立位時間の延長に影響を及ぼす可能性が示唆された.

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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