関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: F-064
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フレッシュマン
施設入所者のサルコペニアにおける運動と栄養が身体機能に与える影響~シングルケーススタディ~
関口 優希奈早乙女 雄紀大沼 亮松田 雅弘ネルソン 祥子
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抄録

【目的】サルコペニアは全身性の骨格筋量及び骨格筋力の低下の疾患とされている。近年ではサルコペニアに対するリハビリテーション栄養(以下,リハ栄養)が注目されている。リハ栄養では運動を有効にする為に、主にたんぱく質などの栄養摂取が推奨されている。特に分岐鎖アミノ酸(BCAA)は、骨格筋合成に有効であり、運動後の摂取が推奨されている。リハ栄養では様々な試みがされており、病院での報告は散見されるが高齢者の施設入所者での報告は見当たらない。そこで、本研究ではサルコペニアを有する施設入所者で分岐鎖アミノ酸の摂取を併用した運動療法が身体機能にどの様な変化があるのか検討することを目的とした。

【方法】対象はサルコペニアを有する当施設入所者1名(女性、83歳、身長143cm、体重35㎏、右握力12.6㎏、左握力11.5㎏、右下腿周径27.5cm、左下腿周径28.2cm)週2 回20分のレジスタンス運動、有酸素運動後にリハデイズ(大塚製薬工場)を摂取。各1か月のABAB法を用いて、運動介入のみをA期、運動と栄養介入時期をB期とした。 測定は膝伸展筋力(徒手筋力計)・10m歩行テスト・体重を評価した。統計はA期の変化量とB期の変化量をウィルコクソンの符号順位検定にて検証し、有意水準を5 %とした。

【倫理的配慮】施設長の承認の下、対象者及び家族に同意を得て実施した。

【結果】右膝伸筋筋力にて有意な差(p=0.043)がみられた。また、体重では差はみられなかったがB2期で増加傾向がみられた。歩行では差がみられず、変化の傾向もみられなかった。

【考察】今回本研究の症例は栄養介入にて筋力の増加が認められ、体重の増加傾向がみられたが、歩行能力の向上までは至らなかった。栄養介入にて筋量の増加により筋力、体重は改善したが、歩行は多様な要因が関係しており、その併用に加えて歩行への取り組みを含めて実施することが重要だと考えられた。

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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