公共政策研究
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I グリーン・リカバリー
英国の「グリーン産業革命」によるグリーン・リカバリーヘの挑戦
的場 信敬
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2021 年 21 巻 p. 33-44

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抄録

英国は現在,気候変動,Covid-19パンデミック,そしてブレグジットと,国内の社会経済を揺るがす3重のインパクトに見舞われている。これらのインパクトを受け止め復興する手段として,ジョンソン首相は,グリーン・リカバリーの考えを国策の中核に据えることを決定し,2020年11月に発表した「10の計画」の中で,「グリーン産業革命」の実現による社会・経済復興の戦略を国内外に示した。

近年英国では,洋上風力を主力とした再生可能エネルギーの主力電源化(電源構成の47%),化石燃料車の新車販売禁止の2030年への前倒し,2050年温室効果ガス排出ネットゼロ目標の法制化など,この分野で急進的な取り組みを次々と進めている。

以上を踏まえて本稿では,英国の気候変動法以降の気候変動政策を概観しつつ,グリーン産業革命によりどのような復興を志向しているのかについて,1)グリーン・リカバリーがどのような意味で理解され,政策化されているのか,2)政府戦略を現場で実践する3つのアクター:地方自治体,企業,市民社会セクターがどのような役割を担うのか,という2点に注目しつつ分析した。結論として,気候変動対策の具体化と関連産業の育成による経済復興のビジョンは示された一方で,脱炭素化に必要なより広範な社会的側面への政策と,政策実践のアクターとなる地方自治体や市民社会との連携が,これからの課題となることを指摘している。

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© 2021 日本公共政策学会
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