政策過程において,専門知を摂取する重要なツールとして諮問機関がある。これらの中には,近年,所管府省の異なる複数の審議会を一緒に開催したり,府省を横断した会議体を共同設置したりするケースが散見される。そこで本稿では,こうした審議会の合同設置・共同設置を取り上げて,政策過程における機能と限界を考察する。合同設置された審議会の設置形態は多様性に富んでいるが,設置目的に応じて,共管事務処理型,重複調整型,対立調整型に大別できる。各型に共通として,事務局を担当する府省が交代で担当する事務局輪番制が幅広く見られ,府省聞の政策調整の定着を促していると考えられる。重複調整型(食品表示)と対立調整型(地球温暖化)の事例研究を通じて,適正な人数の規模でという留保がつくものの,専門家を一堂に集めることで共通認識を深めるなど,委員の人的な継続性と事務局輪番制とがあいまって,政策調整の基盤となることを提示するとともに,対立する論点を回避するようになるなど,政策革新の荏桔ともなりうることも指摘する。合同設置の全体像をとらえるには,今後さらに,さまざまな領域で展開されている事例を収集し,比較していくことが求められる。