公共政策研究
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COVID-19対策における専門家組織と政築学習―日本の専門家会議と感染症対策分科会を例に―
石垣 千秋
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2022 年 22 巻 p. 33-46

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抄録

2020年にパンデミックとなった新型コロナウイルス(COVID-19)は,各国に大きな影響を与えた。人類がはじめて遭遇したウイルスに対応するため,国際政治,国内政治ともに「専門家」の見解に政策は影響を受け,科学と政治の関係性について盛んに議論された。日本でも,専門家会議や感染症対策分科会の見解は政策に影響を及ぼした。専門家と政治の関係性を分析する理論として,認識共同体論と政策学習論は非常に有効である。高度に技術的な知識を政府が得ようとする場合は,科学者からなる認識共同体から学習する[認識的学習」が行われるが,政府の学習が進むと知りたいことだけを専門家に問うための「貢献者」とへ専門家集団の役割が変わるとされる。これまでの日本のCOVID-19対策の過程でもその点は確認されるが,そうであっても専門家たちは内部で結束して「教師」として部分的には政府の方針を修正する役割を果たしてきた。

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© 2022 日本公共政策学会
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