日本信頼性学会誌 信頼性
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LSIのホットキャリア劣化現象について
松山 英也
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2003 年 25 巻 2 号 p. 98-102

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抄録

LSIの基本素子であるMOSFETは従来"劣化しないもの"と扱われて来た.しかし微細化にともないMOSFETは"劣化するもの"として扱わざるを得なくなった.近年LSIの電源電圧が世代ごとに3.3, 2.5, 1.8, 1.2, 1.0Vと低下してきたのは様々な要因があるが,MOSFETの劣化を抑えるためでもある.MOSFETの劣化とはどのようなものなのか.今回、代表例であるホットキャリア劣化についてその現象,メカニズム,寿命推定方法を紹介する.信頼性保証を行う際も、従来行われてきた実際の製品により評価を行う現物主義では保証しきれない.劣化メカニズムを踏まえ,MOSFETの素子自体でホットキャリア試験を行い,その結果から推定された劣化量を回路マージンとして設計者が確保することが必要である.MOSFETが"劣化するもの"として扱わねばならないので,劣化メカニズムの理解は非常に重要である.また信頼性技術者のみが知っていればよい問題ではなく,設計者と知識を共有しなければならない.(社)電子情報技術産業協会JEITA(Japan Electronics and Information Technology Industries Association)にてデバイスメーカー各社の信頼性評価試験の標準化をおこなっている.MOSFETのホットキャリア試験も既に標準化が行われている.現在は,100nm世代以降へ向けてのバージョンアップを進めているので,その活動も紹介する.

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© 2003 日本信頼性学会
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