抄録
GPSの測位方式は衛星からの距離測定である.距離測定には電波の到達時間を用いている.電波の到達時間を測定するためには原子時計の正確さが必要である.移動体の小型受信機に原子時計は積めないので, 受信機の時計誤差を一つの未知数として取り扱う.4機以上のGPS衛星からの測位電波を同時に受信し, 4元連立方程式を解くことで位置と時間を同時に得る.衛星の位置は軌道情報から正確に計算する必要がある.電波伝播の遅延誤差要因など, 各種誤差要因をすべて計算に入れて精度を上げている.現在, GPSは極めて順調に運用されているが, 過去に起こった不具合の実例を見るとGPSの弱点を知ることができる.これらを改善するために, GPS近代化計画が進行中であり, 今後のGPS衛星打上げ計画もほぼ15年先まで確定している.GPSの民間ユーザの一人として, 米国におけるカーナビ実体験談を添える.