2020 年 42 巻 5 号 p. 235-240
酸化ガリウム(Ga2O3)は,その非常に大きなバンドギャップに起因して,次世代パワーデバイス用途の新半導体材料として期待されるに足る優れた材料物性を有する.また,原理的に大口径かつ高品質な単結晶基板を,融液成長法により安価かつ簡便に作製することができるという産業上の大きな魅力も合わせ持つ.現在,Ga2O3 結晶成長,デバイスに関する研究開発は大きな広がりを見せ,世界的に活発化している.本稿では,最初にGa2O3 パワーデバイスの位置づけ,魅力,物性面での課題等について解説する.続いて,最新の縦型Ga2O3 トランジスタ研究開発状況について紹介した後,実用化に向けた今後の課題,展望について述べる.