2021 年 43 巻 1 号 p. 23-28
システム安全におけるソフトウェア品質の重要性は今後益々増大すると考えられる.日本の鉄道信号ドメインではソフトウェア開発に際して安全性・信頼性を確保するために一般的な手法に加えて,タスク制御方式としてシングルスレッド方式を採用してきた.本稿ではこのシングルスレッド方式の概要と利点を説明し,その有効性をソフトウェア不具合データから分析した事例を説明する.その結果からは,マルチタスク方式に比べてシングルスレッド方式のほうが不具合の混入率が低い,というデータが認められている.さらに本稿では,シングルスレッド方式を発展させたタスク制御方式として開発した「排他ダブルスレッド方式」の概要と導入効果を説明する.