日本信頼性学会誌 信頼性
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展望「これからの時代のシステム安全」
材料の損傷・破壊に基づく故障モード解析手法および機械学習を活用した誤り判別
岡部 知行大塚 雄市
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2021 年 43 巻 1 号 p. 15-22

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抄録

最近,材料の損傷や破壊,経年劣化等を原因とした,製品事故が多発している.この様な製品事故は,PL問題等の経営や社会に対して大きな影響を与え得る.材料起因の製品事故を未然防止する為には,システム安全の概念に基づき,製品の構想設計段階から,材料に関する故障モード解析の実施が求められる.そこで著者らは,材料起因の製品事故を未然防止する手法「設計偏差法」を提案した.設計偏差法は,製品仕様に於ける設計変更 / 環境変化と材料の特性変化を対応付け,関連する材料の故障モードを論理的に導出する手法である.更に設計偏差法が機械学習手法との親和性が高いことに着目して,故障モード解析結果の妥当性を確認する「損傷・破壊モードの誤り判別法」を提案した.損傷・破壊モードの誤り判別法は,機械学習手法のサポートベクターマシンを用いて,導出された故障モードの妥当性を判定し,材料に関する知識が少ない故障モード解析者の解析支援を行う.本稿では,材料起因の製品事故がもたらす影響,故障モード解析に関する研究,設計偏差法並びに損傷・破壊モード判別分析について解説する.

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