日本信頼性学会誌 信頼性
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展望 「交通システムの安全性・信頼性」
列車検知センサー「軌道回路」の再生とRAMS性能の改善
寺田 貴行中村 英夫
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2021 年 43 巻 2 号 p. 87-92

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抄録

軌道回路は,送受信部およびそれらを結ぶレールから構成されており,わが国では,鉄道信号において長きにわたりフェールセーフな列車検知センサーとして用いられ,信号の連動制御や自動閉そく制御の安全性確保に寄与してきた.近年,鉄道信号では,無線を活用した新しい列車制御信号システムが増加しており,脱軌道回路の傾向にある.しかし,中小鉄道事業者では,導入費用などの点で無線式列車制御システムの採用が難しい状況である.このような状況に対して,本稿では,既存軌道回路の現状を紹介するとともに,駅中間の列車検知にフォーカスを当てて軌道回路の課題を明らかにする.その上で課題を解決する新たな軌道回路を提案する.さらに,提案する新しい軌道回路を活用した信号制御方式を採用することで,大幅な省エネルギー化が実現できるほか,RAMS性能(Reliability(信頼性),Availability(可用性),Maintainability(保守性),Safety(安全性))の改善が図れることを明らかにする.無線式列車制御方式が採用できない線区の近代化に寄与できるものと期待している.

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© 2021 日本信頼性学会
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