2021 年 43 巻 2 号 p. 93-100
自動運転の実用化については,交通事故の削減に加えて,バスやトラック(サービスカー)等の職業運転者の高齢化による人手不足への対応等,新しい移動手段に対する社会的な期待が大きい. 特に,自家用車(オーナーカー)については,2020年6月に自動運転レベル3(条件付運転自動化)に関する国際基準が制定され,限定条件下とはいえシステムが運転/ 操縦の主体となる自動運転での公道走行が可能になった.今後レベル3以上の自動運転システムの市場化が進むと考えられるが,より一層の普及にあたっては自動運転に対する社会的受容性が不可欠である.とりわけ,説明性が高く国際的にも認められる安全性評価手法の確立が課題である.そこで,本稿では国内での官民連携による自動運転実用化の取り組みについて紹介した上で,自動運転システムの安全性評価に関する課題と海外動向を概観すると共に,国内で進められている安全性評価の手法構築の取り組みについて述べる.