抄録
保育制度が変化し,保育ニーズが多様化する中,保育現場では,保育士と子どもとの関わりにどのような変化が生じているのだろうか。本研究では,ある自治体における保育士と子どもの関わりの実態や変化を明らかにする量的調査を行った。その結果,A市の保育士の多くが保育にゆとりがない,保育環境が悪化したと感じており,子どもの安全に不安を覚えていた。保育士と子どもの関わり方にはあまり変化はなく,日々の関わる時間(回数)も減少していなかったが,危険を回避するため,保育士が全体を見渡せる場所に立って保育をする状況が増えていた。本調査から,保育士が保育状況を評価する場合,「園児定員数」「主観的規模」「勤務形態」が大きく影響することが明らかになった。