2016 年 54 巻 2 号 p. 37-48
本論文は,幼稚園 3 歳児は他児の対人葛藤場面において,どのような介入行為をとるのか,そして,その介入によって,葛藤場面の状況がいかに変化するのかということを,フィールド観察を通して明らかにした。
介入行為については 10 種類が抽出され,年度の後半は前半よりも介入が増加した。〈阻害〉を除く9 種類の行為では,要解決の事態として何かしらの認識が示され,葛藤状況の変化と関連性が見られた。例えば,〈注視〉,〈声掛け〉,〈提案〉,〈抑制〉は葛藤場面の状況を変化させにくかった。〈教師への伝達〉と〈代弁〉は葛藤場面の状況を間接的な関与によって変化させた。〈注意〉,〈加勢〉,〈仲裁〉は葛藤場面の状況を直接的な関与によって変化させた。3 歳児においては,教師の援助を受けながら,他児の葛藤場面に対して要解決の事態として認識し,その対処に参加し,葛藤場面の状況を変化させる可能性を十分に有していることが示唆された。