保育学研究
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原著<論文>
発達に伴う「指さし行動」の質的変化
―「一人指さし行動」から「伝達的指さし行動」へ―
宮津 寿美香
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2018 年 56 巻 2 号 p. 30-38

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抄録

本研究は指さし行動を獲得して間もない0歳後期から1歳前期の子どもの指さし行動に注目をした。対象児は0歳代の9名(男児5名,女児4名)である。指さし行動には,コミュニケーション機能が付随していることが特徴であるが,対象児の行う指さし行動には「自分自身のために行う」ような「ひとりごと」のような指さし行動がみられ,そのような指さし行動を本研究では「一人指さし行動」と定義した。分析には,大きく以下の3つの視点から検討をした。「指さし行動と日齢との関係」,「指さし行動と身体の発達との関係」,「指さし行動と言語発達との関係」である。その結果,対象児の日齢,身体発達,言語発達により,「一人指さし行動」とコミュニケーション機能をもつ「伝達的指さし」の頻度に違いがみられた。また,「一人指さし行動」を質の違いから4カテゴリーに分類したところ(ア.状態,イ.目的,ウ.理解/命名,エ.その他),1歳半頃までは,自分の目的や欲求物について指さす「イ.目的」の割合が高かったが,それ以降では,人の動きや状態を指さす「ア.状態」の割合が高くなることがわかった。

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© 2018 一般社団法人 日本保育学会
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