2018 年 56 巻 2 号 p. 51-62
0 ~ 5歳児が共に過ごす保育現場において,2 ~ 5歳児の乳児,同輩・幼児,大人に対する行動を観察し,幼児期における乳児に対する特徴的な養育的行動を明らかにし,その生起文脈・要因について検討した。乳児に対する行動の中でも,「接触・愛撫」,「分与・譲渡」,「大人を介する行動」の3つが相対的に乳児に対して多く行われていた。この3つが明白な養育的行動である「世話・援助」に加えて,「幼児や大人に対してはあまり行わず,乳児に対して行う特徴的な養育的行動」であることが示された。また,幼児は自ら積極的に乳児に関わったり,遊びの中で乳児に接したりする中で,養育的行動を行うことが多かった。幼児の乳児に対する養育的行動の生起には,乳児への関心,乳児に関わりたいという気持ちや世話したいという世話欲求が影響している可能性が示唆された。