本研究の目的は,母体心拍音聴取時において,幼児がどのように反応するかに関し,安心感に着目した心拍数の変化により明らかにすることであった。38.0~74.0か月の幼児33名を対象とし,無音・母体心拍音・オルゴール音を聴取する実践を通して,心拍数を測定した。その結果,音の聴取において,母体心拍音は,他の聴取音(無音・オルゴール音)よりも,心拍数を減少させる傾向にあることが明らかになった。またその際,特に,何も聴かない無音で過ごすよりも母体心拍音の聴取をする方が,心拍数が減少することが顕著であった。以上の結果をふまえ,幼児が育つ場における母体心拍音の有効性を考察し,保育実践の可能性を示した。