2018 年 56 巻 3 号 p. 137-148
本研究は,4年間の養成課程での実践への参加を通して,学生がエピソードの語り手に至るまでのプロセスを明らかにすることを目的とした。研究1では,保育者養成課程に在籍する4名の大学4年生を対象に,フォーカスグループでのインタビューを行い,保育実践に関するエピソードについて4年間の振り返りを求めた。結果,1年生次,エピソードは実践の場で自ら見出すものではなく,授業の中で紹介された実践事例であった。2年次,学生は保育の場で子どもたちと出会いながらも,漠然とした「保育見えない感」を抱く。3年次,エピソードの視点が明確化してくる。そして,4年次になり,エピソードを多面的に読み解きつつ,動きながら考えるといった実践家的視点をもって語るようになった。研究1で示された結果は,エピソードに関する記録に加え,研究2における270名を対象としたアンケート調査によって傍証された。